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物体検知で「数える」を自動化する―柿ピーで試した個数カウントAIの可能性―

はじめに

製造現場や物流の現場では、「部品が何個入っているか」「箱の中身は規定どおりか」といった“数える”作業が、今も人手に頼っているケースが少なくありません。人が目視で数える場合、どうしても時間がかかったり、作業者の集中力や慣れによって数え間違いが発生したりするリスクがあります。

そこでムクイルでは、「身近な題材を使いながら、物体検知による個数カウントのイメージをつかんでもらいたい」という思いから、おなじみのお菓子である「柿ピー」を使ったデモを作成しました。柿ピーのクラッカー部分とピーナッツ部分をそれぞれ自動で数えるAIを作り、どれくらい正確に、どれくらい速くカウントできるのかを検証しています。

【画像1】「柿ピー」の写真(個数カウント前の元画像)

この記事でわかること

この記事では、次のポイントを中心にご紹介します。

  • 物体検知(Object Detection)とは何か、どんなことに活用できるのか
  • 柿ピーを使って「クラッカー」と「ピーナッツ」を自動で数える仕組み
  • 人による手動カウントとAIカウントの、処理時間・効率の違い
  • 製造・物流などの現場で、個数カウントAIをどのように応用できるか

この記事はこんな方におすすめ

  • 製造業・物流・小売などの現場で、目視作業の効率化やDXを検討しているご担当者さま
  • 「AIを現場業務に活かしたいが、何から手をつければいいか分からない」という企画・DX推進担当の方
  • 現場のリーダー・管理職として、「数える・確認する」作業の標準化や人手不足に課題を感じている方

物体検知とは?

物体検知(Object Detection)は、画像や動画の中から「どこに」「何が」写っているかを見つけ出すAI技術です。一般的な画像分類は「この画像は柿ピーかどうか」を判定するだけですが、物体検知では、画像の中の一粒一粒を認識し、「これはクラッカー」「これはピーナッツ」といった具合に種類を判定しながら、その位置を四角い枠(バウンディングボックス)で特定します。

この「一つ一つの物体を検出できる」という性質を活かすと、画面上に何個写っているかを自動で数える、いわゆる個数カウントが可能になります。これを応用すれば、部品トレイの個数確認や箱詰め商品の数量検査など、さまざまな現場作業の自動化につなげることができます。

“数える”作業をAIに任せるメリット

数える作業は一見シンプルですが、現場では次のような課題があります。

  • 人が目視で数えるため、集中力によるばらつきや数え間違いが起こる
  • 数える対象が多いと、作業時間が長くなり、人件費も増える
  • 記録を残そうとしても、手書きや手入力での管理が大変

物体検知を使った個数カウントであれば、

  • カメラで撮影するだけで瞬時に個数を算出
  • どの位置に何があるかまでデータとして保存可能
  • 結果をシステムと連携し、トレーサビリティや品質管理に活用

といったメリットが期待できます。

柿ピーで試した「クラッカーとピーナッツの個数カウント」

今回ムクイルでは、柿ピーの「クラッカー」と「ピーナッツ」を対象に、個数を自動でカウントする物体検知モデルを試作しました。カメラで撮影した画像をAIに入力すると、クラッカーとピーナッツを一粒ずつ検出し、「クラッカーが何個」「ピーナッツが何個」「合計何個」とカウント結果を返してくれます。

1. データ作成の流れとアノテーション

まずは、柿ピーが写った画像を複数枚用意します。次に、それぞれの画像の中で、クラッカーとピーナッツを一粒ずつ四角で囲み、「クラッカー」「ピーナッツ」というラベルを付けていきます。この“一粒ずつ囲んでラベルを付ける作業”がアノテーションです。

【動画1】アノテーションの様子

こうして作成したアノテーション付き画像をまとめてAIに学習させることで、クラッカーとピーナッツの形・色・大きさなどの特徴をモデルが自動的に学び、新しい画像でも同じように見分けてカウントできるようになります

2. 物体検知モデルの学習

アノテーション済みの画像を使い、ディープラーニングベースの物体検知モデルを学習させます。

モデルは、クラッカーとピーナッツの

  • 形の違い
  • 色味
  • 大きさ

などの特徴を自動的に学習し、新しい画像に対しても「これはクラッカー」「これはピーナッツ」と判定できるようになります。

3. 実際のカウント処理

学習が終わったモデルに、柿ピーの画像を入力すると、

  • 画面上のクラッカー一粒一粒に枠が表示され
  • 同様にピーナッツにも枠が付与され
  • 最終的に
    • クラッカー:〇〇個
    • ピーナッツ:△△個

という形で 自動カウント結果 を出力できます。

画像2:
「元画像(左)と検出結果(右)。クラッカー37個、ピーナッツ13個、合計50個と自動カウント。」
画像3:
「別画像での検出例。クラッカー36個、ピーナッツ16個、合計52個と自動カウント。」
方法約50粒を数える時間備考
人の目視約30秒慣れ・集中に左右
AI(本システム)約0.5秒画像アップロード後

今回のデモでは、柿ピーが約50粒写った画像1枚に対して、

  • 人の目視カウント:おおよそ 30 秒前後
  • AIによるカウント:画像1枚あたり 約 0.5 秒程度

で個数カウントが完了しました。

1回だけで見れば小さな差に見えますが、これが「1日数百枚」「複数ライン」となると、積み上がる作業時間は大きく変わってきます。

また、AIは疲れによる数え間違いや、作業者ごとのばらつきがなく、粒が重なっていたり、撮影する角度や明るさが違ったりしても、モデルが特徴を学習しているため、スピードと同時に“安定した品質”も確保できる点が大きなメリットです。

柿ピーから製造現場へ ― 応用イメージ

柿ピーの例は少し遊び心のあるデモですが、実際の現場では次のような用途に応用できます。

  • 部品トレイの個数確認
    • 組立前に、必要な部品が規定数入っているかを自動チェック
  • 梱包箱・袋の中身の数量検査
    • 箱詰め・袋詰めされた製品数をカメラで撮影し、一瞬で確認
  • 混入・欠品の検知
    • 入ってはいけない種類の部品が混ざっていないか
    • 本来あるべき部品が欠けていないかを自動で判定
  • 在庫カウントの効率化
    • 棚やコンテナを撮影するだけで、おおよその個数を推定

さらに、ムクイルが取り組んでいる Vuzixスマートグラス などのウェアラブル端末と組み合わせれば、

  • 作業者がスマートグラス越しに対象物を見ているだけで
  • その場で「現在〇個」「不足△個」といった情報が視界にオーバーレイ表示され
  • 手を止めずに確認や記録ができる

といった、ハンズフリーな現場DX も実現可能です。

まとめ:カメラとAIで“数える”をもっと簡単に

物体検知モデルを活用することで、これまで人手に頼っていた「数える」「確認する」といった作業を、カメラとAIで自動化することができます。

柿ピーのクラッカーとピーナッツの個数カウントは、その可能性をわかりやすく示すための一例にすぎません。

  • 作業の標準化・属人化の解消
  • ヒューマンエラーの削減
  • 記録の自動化・データ活用

など、現場の課題に合わせて、物体検知と個数カウントはさまざまな形で応用できます。

ムクイルでは、今回ご紹介したようなデモから、

実際のラインや業務フローに合わせたAIシステムの設計・PoC・本番導入まで、一貫したご支援が可能です。

「自社の現場でも、目視で数えている作業がある」

「個数確認や欠品チェックを自動化したい」

といったお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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